第9回:「相変化型半導体メモリ」
今回のお話は「相変化型半導体メモリ」(Phase change memory)に関するものです。
インテルがフラッシュの次の世代の不揮発性メモリ技術として、相変化型半導体メモリの
一種であるOUMを研究開発中であるむねの発表があり、話題となりました。
その相変化型メモリのルーツを探るべく調査を行った際に見つけた
Energy Conversion Devices Inc.(E社)に関する話題が今回の主題です。
相(物質の状態)変化で情報を記憶するものとして、CD-RWなどがあります。
相変化型半導体メモリとは、極論すればCD-RWメモリの固体デバイス化とも言えるものです。CD-RWでは、光を用いて読み書きを行うのですが、相変化型半導体メモリではこれを電気信号で行うことが大きな違いとなります。CD-RWが不揮発(書いた情報が消えない)、再書き込み可能という特徴を有するのと同じく、この相変化型半導体メモリもまた、不揮発で再書き込みが可能です。それに加えて稼動部が全くなく、小型化に向くという特徴を持っています。それゆえに将来のフラッシュメモリの置き換えやさらにはハードディスクの置き換えとして期待されているものです。
まず、E社の全体像について見ていきたいと思います。
E社のメモリ関係特許に注目したとき、その技術起源を年代的に見ていくと、古くは1970年代に遡ります。1984年にピークがあり、1991年に一旦、技術起源特許数が減少しますが、1995年から再び増えてきます。
筆頭米国分類別集計を見ると、257番:アクティブソリッドステートデバイスや、365番:静的情報記憶、438番:半導体製造プロセスが特許を保有している主な分類項目になります。
では、時間を遡ってこのE社の技術開発の流れをトレースしてみましょう。
まず、技術起源が1970年に遡る特許3,983,542では、光で書き込み電気的に読み出すという点をコンセプトにしています。
4,499,557は技術起源が1979年ですが、アモルファスを用いたワンタイムロムという形で現在の半導体メモリの持つアレイ構造が現れています。
4,597,162は技術起源が1983年ですが、アモルファスの相変化を利用した消去、再書き込み可能なPROMが開示されています。スイッチデバイスとしてはダイオードが用いられています。
4,646,266(技術起源1984年)では、多層に積み重ねられたプログラマブルメモリが開示されています。これが実現できれば、飛躍的な集積度の向上が可能になります
5,166,758(技術起源1991年)でとうとうタイトルがそのものずばりである「電気的に消去可能な相変化メモリ」が現れます。
5,296,716では、1セルに対する多ビット書き込みとさらに大容量化を意識したものになっています。しかしながらこの特許には具体的な書き込み回路などは開示されていないようです。
5,341,328(技術起源1991年)では、スイッチング電流を抑制することで信頼性を向上させる話が出ています。
この1991年にはその他の多くの重要な技術が開発されていたようです。
5,714,768(技術起源1995年)では、ロジックLSIの最上層に相変化メモリを作るという記述があります。これができれば、OSやデータも含めて半導体チップにコンピュータが納まってしまうという時代がくるのかもしれません。
技術起源が1999年になりますと、相変化メモリのプログラミング方法(6,075,719)なども現れてきます。
以上、相変化メモリに関する部分だけを拾ってきましたが、このE社では、その他、色々な新しい技術に取り組んできたようです。
光ディスク関係、太陽電池、イメージ素子、超伝導フィルムデバイス、液晶ディスプレイ関係、などアモルファスや相変化をキーワードとした新規技術の開発が積極的になされていたようです。
ちなみに発明者別集計をみるとキーエンジニアは8人程度で、総発明者人口がが百数十人程度であることがわかります。夢多き技術者集団を伺わせます。
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探検隊長より
米国には「いかにもベンチャー」という楽しい会社があるということを実感しました。
また特許出願費用を考えるとそれに出資した人も多くいたのだろうなと考えます。
「知財立国」を考えるとき、多くの示唆が米国特許にあるように思えます。
『頑張ろう、日本!』
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